ソニーと西武の話

ソニーの出井会長が退陣しますね。有能な経営者だとは思うんですが、いろんな記事を見ていると、戦略の失敗というより、社内コミュニケーションの失敗だったように思いますね。
バーナードという人が近代組織論の礎を作ったんですが、その人によれば、組織の大きさはコミュニケーション能力の可能範囲によって定義されるとされています。その意味では出井さんの「言葉」が社内で一人歩きし、結果的にインテグレーションが上手くいかなくなった(事業の重複や矛盾した活動が行われたらしい)ということではないかと。


さて、出井さんの後、主として実務面で引っ張るのはプレステの設計で名を馳せた久多良木氏になるわけですが、私はこの方はほとんど評価していません。技術者ではありますが、経営者ではないし、マーケッターでもないと思っています。昨年のPSPの設計ミス(ボタン部と反応部のズレ)を「デザインは完璧。だからユーザーが仕様に慣れてもらうしかない」という主客転倒(というより作り手側の傲慢)なことを言う人は信頼できないな、と。


西武の話題も喧しいですが、私は株がどうこうというより、ツッコミどころとしては法人税をほとんど払わない仕組みに対してムカつきますね。今週の日経ビジネス誌で西武の特集がされており、非常に興味深く拝読しましたが、記事にもあったように、堤氏は経営者ではなかった、ということに尽きるのでしょう。ダイエーの例を挙げるまでもなく、土地の含み益を背景にした拡大型ビジネスモデルは、経営手腕ではなく、環境依存でしかないことにどうしてバブル崩壊後も気づかなかったのか疑問です。資産は大きいが借入金に大幅に依存し、過小資本で、キャッシュフローに乏しい企業グループ。古い考えとしかいいようがないですし、それまでほとんど無担保で貸してきたといわれる金融機関も同罪です。
それにしても国定公園ギリギリにリゾート開発を行い、プリンスホテルを作るというのは、やはりビジネス倫理としていかがなものかと思いますね。コクドは旧社名を国土開発といってましたが、どう考えてもやってることは国土破壊です。


フジテレビのTOBの結果が明日出るようです。それはそうと創業家の鹿内氏がまた何だかいちゃもん付けているようですが(事実なら確かに証券取引法違反の疑いは濃いが)、見苦しいですね。気持ちはわからないわけではありませんが。