1982/7/3-8/28の全米No.1シングル

前回のチャートは下記を参照。
http://d.hatena.ne.jp/vivelerock/20080104/1199435069

ポールとスティーヴィーの「エボニー・アンド・アイボリー」のメガヒットの後も、ロングヒットが続きます。
まずヒューマン・リーグの「愛の残り火」が3週1位をキープ(年間チャート6位)。

Dare

Dare

原題「Don't You Want Me」がなぜこの邦題になるのかというツッコミはさておき、チャート史上はこの曲は極めて重要な意味を持っています。それはビートルズ以来の「第二次ブリティッシュ・インベイジョン」の幕開けを飾った曲であり、イギリス産のニューウェーヴがポピュラー化して全米チャートを席捲したことを示したからです。
1位こそ取れなかったものの、ソフト・セル「汚れなき愛」(8位)、フロック・オブ・シーガルズ「アイ・ラン」(9位)が同年ヒット。翌83年には以下のような曲がトップ10入りし、イギリスのポスト・ニューウェーヴ勢が一大勢力となりました。

私がイギリス系にはまるきっかけの曲が目白押し。それはさておき、ヒューマン・リーグはこの曲の大ヒットゆえに一発屋にみられてしまってますが、イギリスではもとより、アメリカでも「ファッシネーション」(83年8位)、「ヒューマン」(86年1位)のトップ10ヒットを飛ばしており、いまだに現役で活動中。ヴォーカルのフィリップ・オーキーの黒髪長髪こそ今は面影もありませんが、「エレクトリック・アバ」の異名の由来でもある二人の女性ヴォーカリストはそれほど変わらず頑張っています。


ヒューマン・リーグの後は、映画「ロッキー」の主題歌に抜擢されたサバイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー」が6週連続1位、年間チャートでもオリビア・ニュートン・ジョンの「フィジカル」に次ぐ2位を記録します。

Eye of the Tiger

Eye of the Tiger

それまでほとんどヒットのなかった彼らを抜擢したのはシルベスター・スタローン本人だそうですが、だとするとなかなかの慧眼。もっとも彼らの全盛期はもう数年後(アルバムでいえば「バイタル・サインズ」「ホエン・セカンズ・カウント」)で、このときはまだ一発屋ぽく見られた面もあったようです。
「アイ・オブ・ザ・タイガー」は後の「ロッキーIV」で再び採用された「バーニング・ハート」(86年2位)と並び、格闘技の世界ではBGMとしてスタンダード化した感もありますが、やや大仰な「バーニング・ハート」(これはこれでいい曲ですが)に比べると、より乾いた端正なロック・ナンバーで、映画のヒットのおかげはかなり大きいようにも思います。