マクドナルドに関するメモ

日本マクドナルドホールディングスの2005年12月期連結決算の結果

売上高 3,257億円(前期比6%増)
営業利益 32億円(前期比56%減)
最終利益 6,000万円(前期比98%減)
来店客数 前期比12.3%増(既存店ベース)、世界119カ国の中で世界一の伸び率

米国本社主導による客数増のための「バリュー戦略」により、客数は増えたが材料費・労務費の急増が客数増による売上増で吸収できずに利益ベースでは大幅な減少となった。
直営店では100億円を超える赤字を記録、しかしFC店からのロイヤリティでなんとか賄っている状態が浮き彫りになっている。
原田社長は「バリュー戦略が利益を圧迫したのではない」といい、ROIP(店舗・人材投資)による先行投資が利益圧迫の要因になっていると強弁していたが、実情は前述の通り。原田社長にしても、米国本社の意向を無視できないために強弁せざるを得ない状況に置かれているのはいたしかたないとも言えるが、現場の店舗社員やFC店オーナーのモチベーション低下や低い利益率による株主からの不満などを考えると、これはほっとけない問題に既になっている。また、現在中央集権型の組織体制を取っているために、エリア情報が取れず、商品・店舗開発に反映できなくなっているとのこと。
米国本社にとっては、利益ではなく、売上増がロイヤリティと直結しているためにこのような戦略を海外子会社に強いているわけだが、このままでは「金の卵を産むニワトリ」を殺すようなもの。
週刊ダイヤモンド」によれば、今後の日本マクドナルドの成長は、売上高至上主義からの脱却とまあ簡単にいっているが(真っ当な意見だが)、前述のようなアメリカの二重支配がある以上、相当難しい。吉野家ディー・アンド・シーに代表される外食業界のM&Aの動きからみえるように、ハンバーガー・ショップという単一業態の限界を同誌は指摘しているが、シナジーを無視し、コア業態のリスクヘッジだけを狙ったポートフォリオ的な現在の外食産業のM&Aには非常に疑問が残る。それにマックが追随すべきかといえば、「それは違う」と思うし、圧倒的なトップシェアを誇る同社が取るべき戦略として優先順位が高いとも思えないのだが。