同名異曲

最近、気になっている曲があります。

Venus(DVD付)

Venus(DVD付)

タッキー&翼の新曲、「Venus」です。アンチ・ジャニ(ヲタ)としては恥ずかしながら、この曲は素直にいい曲だなと思ってしまいました。また、振り付けがいいのよ、これ。世間のオッサンどもがウケを狙ってマスターしようとするんでしょうね(「青春アミーゴ」はまさにそういう感じだったらしい)。
しかし、80'Sに生きた我々としては、「Venus」といえばタッキー&翼ではなく、やはりバナナラマであり、ショッキング・ブルーなわけですよ。
バナナラマ・グレイテスト・ヒッツ

バナナラマ・グレイテスト・ヒッツ

驚いたのはバナナラマって現役なんですね。それはそうと本当にヘタクソなヴォーカル・グループでした。ハーモニーはすべてユニゾンで、きょうびジャニーズ系ですらこのタッキー&翼を始め、Kinki Kidsなどちゃんとハモっているのに、これではさすがにダンス・ミュージック以外に評価のしようがない。
とまあ、バナナラマについて書きたかったわけではなく、こういう同名異曲について書きたかったのです。
それで洋楽でなくて恐縮なのですが、「I Love You」といえば、尾崎豊オフコースですね(強弁)。尾崎版は現在河口恭吾がカバーしてますが、もうなんというか身の毛がよだつ。尾崎の歌詞自体、どうも肌に合わないんですが、逝ってしまったほどの暑苦しいパッションゆえに「まあこういう人が一人くらいいてもいいか」とも思ってました。ところが河口版はもっと気持ち悪い。ということは、この曲は「尾崎」という人間と不可分なんでしょうね。
好みの問題ではありますが、尾崎の代表曲とされるようなこの曲や「卒業」なんか聞いていると、もうどうしようもなく青臭い以前に過剰さに嫌気がさすんです。で、尾崎ぶってカラオケでこれらの曲を熱唱する奴を見ると、マジで殺意が生まれる。たとえていうなら、ホイットニー・ヒューストンライオネル・リッチーが、ジェームス・ブラウンの叫び声をサンプリングしたジム・スタインマン作曲、デヴィッド・フォスターのプロデュースによる曲をバックに8分近くデュエットした挙句、その12インチ・ヴァージョンを聴いているマイコー・ジャクソンムーンウォークをしながらアンガールズと共演しているのを見ているような感覚にとらわれるのです。
尾崎は「Love Way」とか普通にいい曲が書ける人なんですが、作詞家・パフォーマーとしては相当好き嫌いが分かれる人だと思います。
さて、オフコース(w。こっちも好き嫌いが分かれる人が異常に多いんですが、それも分かる気がします。まず小田和正のハイトーンが「許せるか」から始まって、あの歌詞の世界がある意味で貧乏くさいといいますか。コアなオフコース・ファンである私としても、「生まれてくる子供たちのために」とか、いくつかの曲は単にウザイ(暑苦しい)感じもしています。ただ「I Love You」についていえば、これはよく出来ています。もともと完璧主義者の彼らですが、シンプル、タイトにまとめればまとめるほどその真価が発揮されます。ちなみにこの曲は、英語によるニュースがサンプリングされていますが、これはジョン・レノン殺害のニュースです。
I LOVE YOU(紙ジャケット仕様)

I LOVE YOU(紙ジャケット仕様)

いろいろ書きましたが、同じタイトルでもこれだけ極端に捉え方が違うとおもしろいなぁと。あ、それから散々尾崎豊をけなしてますが、好みはともかく、日本の音楽史に残るエポックメイキングな存在であることは確かです。これは素直に認めないといけませんね。