そうか、これはビートルズ・リバイバルだったのか。

昨日は花粉がひどいので、ずーっとコステロの1stを聴いてました。
My Aim Is True (Bonus CD)
いやはや、これ本当に名盤です。
実はあまり期待してなかったんですね。というのも私にとってのコステロは、名盤とされている「ゲット・ハッピー」や「インペリアル・ベッドルーム」ではなく、ポール・マッカートニーとの共演が話題を生んだ「スパイク」でも、にわかファンを増やした近作でもなく、やはりリアルタイムのこれ↓だったもんで(ちなみにコステロ本人は失敗作扱いですが)。

Goodbye Cruel World (Dlx)

Goodbye Cruel World (Dlx)

もともとパンクとの相性は悪い私なので、だいたい「パンクだけどメロディアス」なんていう戯言の評論は「ただシンプルなだけ」というヒネた見方しかしてこなかったんですが、これはいいですよ。


何がいいって、ほんとに曲がいい。ヴォーカリストとしてのコステロはむしろ80年代後半以降に名声が確立した感がありますが、ほんとはこの1stがベストじゃないでしょうか。ヴォーカルのささくれ度合が、たとえば「アリソン」のようなバラードでは「痛い」(いい意味で)感覚を呼び起こすといいますか。


他の曲もツブぞろい。「ウェルカム・トゥ・ワーキング・ウィーク」の疾走感と「ブレイム・イット・オン・ケイン」のメリハリ、「ミラクル・マン」のエディ・コクランぽさ、どれをとってもいい。完成度が高いとかそういうんじゃなく、感覚にビシビシくるアルバムです。


そういう点では、このアルバム、ビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」や「ウィズ・ザ・ビートルズ」と非常に近いと思っています。荒々しさと曲のレベルとのミックスによる青臭さ、甘酸っぱさが似てる。そういえば「マイ・エイム・イズ・トゥルー」は24時間で録音したところも「プリーズ・プリーズ・ミー」を意識したのか? 後にポールと共演したり、「ベイビー・イッツ・ユー」をニック・ロウとやったり、ライヴ・エイドで「愛こそはすべて」をやったりと、コステロビートルズ好きなのは確かですが、ほとんどこの1stはビートルズのオマージュに近い。レベルは落ちますが、そういう感性としては下のアルバムも近いですね(ジャケも「ウィズ・ザ・ビートルズっぽい)。

Get the Knack

Get the Knack


さて、このアルバムの中のベストといえば、やはり定番「アリソン」ですが、これを聴いてて、ロン・セクスミスを思い出しました。

RON SEXSMITH

RON SEXSMITH

ロン・セクスミスは、コステロが大激賞したシンガー・ソングライター。で、この1stに入っている名曲「シークレット・ハート」がアレンジそっくりなんです。シンプルさ加減も含めて。「ああ、コステロの本質ってこういう曲なのだな」と改めて再認識。


それにしても、これほど同じアルバムを短時間に何回も聴きなおすというのは実に久しぶりの体験で、私自身もなんだかうれしくって。嫌いじゃなかったけど、なんとなく粗製濫造で曲を書き散らしているイメージのあったコステロ、大好きになりましたよ。


次はこれだな。まだ買ってないんですが。

This Year's Model (Bonus CD)

This Year's Model (Bonus CD)