パット・べネターでした。

中古盤屋で580円のところ、セールでさらに3割引だったのがコレ↓の右側。

TROPICO / SEVEN THE HARD WAY

TROPICO / SEVEN THE HARD WAY

パット・べネターの「セヴン・ザ・ハード・ウェイ」というアルバムで、
はっきりいってこのアルバムからパットは売れなくなった。
パットはそれまで、特に80〜83年までなんとグラミー賞の最優秀ロック・ヴォーカル
を4年連続受賞(おもしろいことにそれから4年連続でティナ・ターナーが受賞)
していたスーパースターで、前作「トロピコ」も大ヒットしてたことから
みるとこの凋落は不思議。
作品自体も悪いわけじゃない。私はこのアルバム収録のシングル「インビンシブル」
が好きだったのと、PV「セックス・アズ・ア・ウェポン」が印象に残っていた
こともあって、リアルタイムでは「トロピコ」並みに好きなんですが。
でも今聴くと確かにつらい面も。


この作品、プロデュースがマイク・チャップマンと二ール・ジェラルドという
80’sアメリカン・サウンドの雛形を作った中心人物だった連中のせいか、
飽きるというのも事実。
ちなみに二ール・ジェラルドはリック・スプリングフィールドでもおなじみの
ギタリスト&ソングライター&プロデューサーで、パットのプライベートでの
パートナーでもあったお方。
で、さらにこのアルバムのクレジットをみると、なかなか面白い事実が。
ソングライターとして、マドンナの初期作品を始め、当時の大ヒットメーカー
だったトム・ケリー&ビリー・スタインバーグを始め、「ラヴ・チェンジズ」の
ヒットもあるクライミー・フィッシャーのサイモン・クライミー、
渋いところでは「ロッキー4」のサントラで最も印象的なロック・ナンバー
「ノー・イージー・ウェイ・アウト」の作者&シンガーであるロバート・テッパー
なんかも参加している。
つまり、音作りと曲作りの両面で80年代キャスト勢ぞろいなわけです。
加えてパット自身、後に出てくる女性ヴォーカリストのような強烈な個性が
あるわけでもなく、あえていうなら中庸の権化(ゆえに大きなアメリカ市場で売れた)。
ただ、パットが無個性というわけではなく、とにかく器用でかっこいい(媚びないが
女性らしい)イメージがあるというバランスの良さが持ち味。
逆にいえば、それだけ中庸で「時代と寝た」ゆえに現在の失速もしゃーないのかも
しれませぬ。


でも80年代に始まった女性アーティスト大量発生の礎を築いた点でも非常に評価
しております。残念ながらオリジナルの日本盤はほとんど廃盤状態。
で、やっぱり東芝EMIだったりする。
散々当時は彼女をはじめ、80’s系で儲けておいて、そりゃないぜ、EMIさん。