レコード・コレクターズ特集「狂気」

3月号はピンク・フロイド「狂気」の特集。随分前、このアルバムの検証を行ったことがありましたが(http://www.geocities.jp/britishpopclub/masterpiece.htm)、つくづく思ったのは、いわゆる「名盤」には「時代の産物」と「時代を超越」したものとがあって、フロイドの場合はこの両者を含む部分があるなということでした。
「狂気」の前者の部分としては、「タイム」や「マネー」の冒頭のSEをテープループして作ったことなどが典型ですが、当時の録音技術を駆使した部分。英語がよくわからん日本人としてはどうしてもこの音楽性の部分しかわからないので、私のようにこのアルバムは「地味」としか思えない人も多くなります。逆にこの録音云々をもって評価する人は、リアルタイムを体験した人か、そういった「情報」で評価する人ではないかと。
後者としては、このアルバムの時代を超えた凄さは構成と歌詞。人間が狂気に至るストレスをテーマにとったコンセプトはいまだに古びておらず、それにマッチした流れや構成はまさに時代を超えています。
狂気 (30周年記念盤)(SACD)

狂気 (30周年記念盤)(SACD)

結局のところ、「名盤」か否かは、その背景にある「情報」による部分は否めないところはあって、今回「レココレ」を読んで、「やはりすごいんだな(すごかったんだな)このアルバムは」と思わざるを得ませんでした。「狂気」も当時リアルタイムで「凄い」と思えた人が一部だったからこそ、異常ともいえるロングセラーになった(一般人が理解するまでに長い年月=情報を要した)といえるのではないでしょうか。
情報に左右されずフラットに聴いて「これ名盤だ」と思えるものって、正直なとkろどれくらいあるんでしょうか?「サージェント・ペパーズ」や「ペット・サウンズ」でさえ、今の若い人は「へぇ」くらいで終わったってちっとも不思議ではないわけで。