ソニーの中鉢次期社長は大丈夫か?

日経ビジネス4.11号を読んでいたら、6月に次期社長となる中鉢氏のインタビューが。
人当たりの良さそうな(という点であまりソニーっぽくない)方ですが、大丈夫かな、この人?と思うようなツッコミどころ満載のインタビューでした。


要点をいえば、これからソニーは「夢と感動を、お客様の欲しいものを半歩先に出す」とのこと。これって、ソニーの歴史からみればなんも変わっていないんですが、問題は「欲しいもの」がズレてたからであって。。。


それはさておき、この「感動」って何ですか?の問いに対し、中鉢氏は「半歩、期待値を上回る。それが感動だ。想定の中に入っていたら感動ではない」とおっしゃっている。
でもこれって間違い。半歩レベルじゃあ感動なんてしないですよ。


CS(顧客満足)の理論では、価値体系を基本価値−期待価値−願望価値−予想外価値と4段階で示しています。「感動」はこれに沿えば「予想外価値」にあたるわけで、字のごとく予想を完全に超えなければ感動レベルまでいかないんです。


さらに中鉢氏はテレビに求められる要素に対し、かつてのトリニトロンのようにホーム市場は「くっきり、はっきり」だという。


古い。古すぎる。


というより、そんなもので競合との差別性・優位性や感動を得られるという発想はあまりに素朴でピュア過ぎる。ホーム市場の再取り込みについてはひとつの考え方なのでどうこういうつもりはありませんが、デジカメのように人間がほとんど識別できないほどの画素数競争が既に終わっちゃってるように、テレビの品質とは何かを根本的に問う必要があると思うのです。いまさら「くっきり、はっきり」に価値を見出す消費者がホーム市場のようなマスにどれくらいいるのでしょう?


さらに競争戦略についてはこう語っている。
「競争相手とお客様を明確にしなくて、いったいどんな戦いができますか。ベンチマークする相手を決めて、お客様の声を聞く。キャノンに勝つ武器でアップルと戦っても勝てない」


中鉢氏はベンチマーキングと直接競合を一緒にしているようです。
ベンチマーキングとは、同一業者・商品にかかわらず、業務プロセスを対象として自社のプロセスを革新させる手法なわけですが、なんだかごっちゃに考えているようですね。


まあインタビューは中鉢氏の考え方の断片しか伝えていないでしょうから、これで中鉢氏はダメだ、なんてレッテル貼りするには早計でしょうが、なんとなくこの人で「ソニーは変わる」とは思えないのが現状です。


人は良さそうなんですけどね・・・。