ライヴ・エイド Disc.4レビュー

何とか年内にレビューが終わりました。後述しますが、個人的にはDisc.4が一番印象に残りました。

1.マンイーター / ダリル・ホール&ジョン・オーツ
H2O
彼らにしてはちょっと雑なパフォーマンス。ダリルはたぶんもうこの後のテンプテーションズ組との競演でウキウキ心ここにあらず状態だったんだと思う。

2.ゲット・レディ / ダリル・ホール&ジョン・オーツ / エディ・ケンドリックスデヴィッド・ラフィン
まずエディ・ケンドリックスが登場。全然声が出ないのが痛い。ファルセットって声量がないと聴けたもんじゃないんですね。でもホール&オーツはうれしそう。

3.エイント・トゥー・プラウド・ドゥ・ベッグ / ダリル・ホール&ジョン・オーツ / エディ・ケンドリックスデヴィッド・ラフィン
デヴィッド・ラフィンが登場。さすがにこっちは上手い。迫力のパフォーマンス。曲はもはやクラシックですが、ホール&オーツ・バンドがモダンな味付けを。そろいのダンスでダリルのうれしそうなこと!こっちまでうれしくなっちゃう。

4.マイ・ガール / ダリル・ホール&ジョン・オーツ / エディ・ケンドリックスデヴィッド・ラフィン
イントロだけですぐわかる不朽の名作。全員揃ってのステップも盛り上がります。で、ご周知の通り、この共演がもとになって「ライヴ・アット・ジ・アポロ」というライヴ盤が登場します。

5.ジャスト・アナザー・ナイト / ミック・ジャガー
She's the Boss
これはあれだな、販促パフォーマンスだね。ソロ・アルバムのための。でもそれなりに観れる。

6.ミス・ユー / ミック・ジャガー
あまたのストーンズナンバーからこの曲を選んだところにミックの矜持というか、考えがよくわかる(気がする)。それにしてもバックのホール&オーツ・バンド、上手いなぁ。

7.ステイト・オブ・ショック / ミック・ジャガーティナ・ターナー
オリジナルはジャクソンズ(マイケル・ジャクソン)とミックの競演シングルより。強烈な(そりゃそうだ、ティナとミックだし)パフォーマンスですが、はっきりって曲が弱いのが残念。「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」とかだったら盛り上がっただろうに。

8.イッツ・オンリー・ロックン・ロール / ミック・ジャガーティナ・ターナー
そのままメドレーでこの曲のサビへ。これはあんまりよくなかった。エンディングも中途半端にソデに引っ込んで終わり。

9.風に吹かれて / ボブ・ディランキース・リチャーズロニー・ウッド
Freewheelin Bob Dylan (Reis)
いかに当時ストーンズが分裂状態だったかはこの演奏の並びでわかる。それはともかくボブの存在感はすごい。ただし演奏は最悪。だいたいボブってライヴでは原曲を崩しまくる人なので、共演自体ほんとは無理な話。キースはわけわからんピッキングでメロディー刻むけどボブは勝手にコードをテンポを変えて弾きまくる。で、ロニーはというと弦が切れたのか、ギター交換したり。でもほとんど「弾いてない」(笑)。役割分担くらいしとけよ、まったく。

10.ウィ・アー・ザ・ワールド / USA for AFRICA
さあ、悪名高いアメリカのフィナーレ。ライオネル「お祭り」リッチーが登場し、へぼいバックの音にあわせて歌います。ディオンヌ・ワーウィックも参加。リポーターで出演していたシーナ・イーストンはマイクを奪って歌いまくる。そして「あの」パティ・ラベルの独演会と・・・。いやはや、確かに最悪です。途中でちょろっとダリル・ホールが歌ってさっと引っ込む場面に彼のすがすがしさが出たのが救い。延々とコーラスを繰り返すあたりもイギリスと大違い。


さて、この後はエクストラ・トラック。なかなか貴重なシーンが目白押しです。


11.インエクセス/ホワット・ユー・ニード〜ドント・チェンジ
Listen Like Thieves
「OZフォー・アフリカ」より。マイケル・ハッチェンス絶好調。というかほんとに上手い。「ドント・チェンジ」は曲がイマイチですが、サックス担当のカーク・ペンギリーがギター担当したりと意外と珍しい画が観れます。

12.B.B.キング/ホワイ・アイ・シング・ザ・ブルース〜ドント・アンサー・ザ・ドア〜ロック・ミー・ベイビー
Rock Me Baby
最初は全然興味がなかったB.B.キングのパフォーマンスですが、これが最高。彼のギターの滋味はもちろん、「ロック・ミー・ベイビー」での掛け合いなどパフォーマーとしても一流。いや、こりゃほんとに楽しい!

13.アシュフォード&シンプソンwithテディ・ペンダーグラス/リーチ・アウト・アンド・タッチ
アシュフォード&シンプソンは元々モータウンの売れっ子ソングライター夫婦(マーヴィン・ゲイの曲が多い)。当時は「ソリッド」のヒットなども。テディ・ペンダーグラスはハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツのヴォーカリストとして活躍後、ソロになるがどうも事故か何かでステージに立てなくなったよう(その後復帰)。で、ライヴ・エイドは久々のステージで、会場は暖かい拍手に包まれた。パフォーマンスも言うことなし。絶品。本編にいれるべきだったのでは?

14.ランD.M.C./キング・オブ・ロック
King of Rock
まだ「ウォーク・ディス・ウェイ」のヒット前の彼ら。アグレッシヴな演奏だが、すでにヒップホップのイディオムは完成しているところがすごい。日本のラッパーは所詮コピー以下だなと再認識。それはさておき、これってやはり画つきでみないと魅力半減だなとも。音だけじゃちょっと盛り上がれないかも。

15.クリフ・リチャード/ワールド・オブ・ディファレンス
なぜ日本でクリフが人気が出ないのか。これを観たらよーくわかる。ファン層としてはバリー・マニロウとかフリオ・イグレシアスあたりに日本ではなりそうだが、音楽的にはもうちょっと若いんですね。MORってなかなか難しい。

16.オーヴァーシーズ・コントリビューションズ
オーストリア、ドイツ、ユーゴスラヴィアノルウェイバンド・エイド。この中ではドイツがやはりドイツらしくて面白かった。ネーナがちらっとヴォーカルを取ってます。Yu Rock Missionというのが当時放送されてましたが、これってユーゴ版のバンド・エイドでした。
他には日本からラウドネス矢沢永吉(実際は佐野元春オフコースも)が、元ソ連はオートグラフというバンドが出てましたが、どちらも最悪でした。オートグラフは産業ロックの悪いところを全部くっつけたような、ある意味不思議なバンド。

17.デヴィッド・ボウイミック・ジャガー/ダンシング・イン・ザ・ストリート
久々に観た。二人とも役者ですね。曲はマーサ&ザ・ヴァンデラスの古典。ボウイの声量がちょっときついですががんばってます。元々はライヴ・エイドのためだけだったのが評判がよくてシングル化。そういえばプリンスのPV(「フォー・ザ・ティアーズ・イン・ユア・アイズ」は収録されてませんね。あれも会場では盛り上がったんですが。

18.ドキュメンタリー「食糧&輸送用トラック&ロックンロール」
おそらくは85年後半に作られたと思われるバンド・エイドライヴ・エイド、それ以後のバンド・エイド・トラストの活動を含めたドキュメンタリー。飛ばす人も多いと思いますが、ぜひ観てください。涙なしには見れませんし、ボブの取り組みがハンパじゃなかったことがよくわかります。
余談ですが、このドキュメンタリーでバンド・エイドの演奏メンツがわかりました。
ドラム:フィル・コリンズ
シンセ:ミッジ・ユーロ
ギター:ボブ・ゲルドフ/ゲイリー・ケンプ(スパンダー・バレエ)/ポール・ウェラー
ベース:ジョン・テイラーデュラン・デュラン)/スティング
ただし実際に彼らが演奏しているかどうかは疑問ですが。